ジャズとコーラス

(4) 分派活動の元祖Ink Spots If I Didn't Care


The Ink Spots, 1936
Bill Kenny
Orville "Hoppy" Jones
Deek Watson
Charlie Fuqua


The Ink Spots
Sonny HATCHETT, Herman DENBY, Morris DOW
Harold WINLEY

1932年にインク・スポッツInk Spotsというドゥワップのコーラスがデビューしました。1936年にリード・テナーのBill Kennyがリーダーとして加わり、本格的になり40年代まで黄金時代があります。

1939年に"If I Didn't Care"がミリオンセラーになりました。なんと1900万枚売れとたいうのです。ultimately sold 19 million copiesとあります。

現在もビッグネームは活き続けているのです。

ギター1本の伴奏で唄うのがもともとのスタイルなのですが、どの曲も同じ循環コードのイントロで始まります。

/C C#dim/Dm7 G7/C C#dim/Dm7 G7/です。

このグループのアレンジは、1コーラスが終わると必ず低音のナレーションが入ります。このグループではWinleyが喋ります。リードはDenbyが唄っていますが、Hachettも唄うらしいです。スタイルは70年前と変わっていないのです。

日本ではキングトーンズが彼らのスタイルをまねています。グッドナイト・ベイビーがヒットしました。


驚かないでください!!!

皆さん、びっくりするような本当の話をいたします。1940年代から早くもオリジナルメンバーの間で、分派活動が次々と起こっていきました。オリジナルのDeek WatsonがBill Kennyと上手くいかなくなり別れ、Charlie Fuquaは軍隊に行っている期間があります。兵役が終り、一旦はBill Kennyのところに戻りましたが、後に自分のグループを結成して分かれたのです。Hoppy Jonesは1944年に死んでしまいましたので分派はおこしていません。

それ以来、今までにおよそ30系統のグループが分派して、総数が199グループ、関わったメンバーの人数は273名まで調べられています。

とにかく目まぐるしいほどの烏合衆参を繰り返したわけです。

変わらないことはと言えば、すべてのグループがIf I didn't care・・・と唄い続けてきたことです。Bill Kennyは苦々しく思って見ていたことでしょう。そのBill Kennyのグループは50年代半ばまで続き立ち消えてしまいます。

Deek Watsonグループを皮切りに、分派の分派でソロを47年間唄っていたのがJim Nabbie、彼が死んでGrant Kitchingsが引き継ぎ、そのKintchingsが2001年に病死し、現在のDenbyになったグループが上のcurrent groupで、Deek Watsonから出たJim Nabbie系統のグループです。

Harold Jackson's Ink Spotsが生きているようです。Jacksonは50年代からのメンバーで、Deek WatsonとCharlie Fuquaとも一緒にやっていますが、やはり分派して、2006年現在では94歳で唄っているということです。そして、1999年にVocal Group Hall of FameにInk Spotsが殿堂入りするときには、Harold Jacksonが1人で出席したと言うことです。おそらくは、最年長の生き残りでオリジナルのメンバーともつながる人だからでしょうか。多分そういうことでしょう。

2004年の時点では、Ray Richardson's Canadian Ink Spotsというグループが唄っています。現在のことは不明ですが、グループは存続しているようです。Ray RichardsonはCharlie FuquaのInk Spotsに1961年に加わり、Fuquaが死んでからリーダーを引き継いでいる古いメンバーです。


Harold Jackson's Ink Spots

Ray Richardson's Canadian Ink Spots

The World Famous Ink Spotsが2006年1月にTed Herman Orchestraとジョイントでショーをやるという広告がありました。ラスベガスの南にあるネバダ州コロラド川沿いのLaughlinのAvi Resort & Casinoでのイベントです。

このグループ以外にも、生きているグループがいくつかあるらしいです。ただし、プラターズのような商標をめぐっての争いはないようです。もともとは、オリジナルメンバーのDeek Watsonが商標の権利を持っていたのをBill Kennyに2万ドルで譲り渡したと言う話が残っていますが、定かではありません。

しかし、Deek Watsonは分派して、Brown Dotsというグループ名を名乗りました。したがって、2万ドルで権利を売ったのは本当らしいです。そうでなければ、Watsonの方がKennyより古いオリジナルメンバーですから、堂々とInk Spotsを名乗るはずです。Brown Dotsを解散して新たにFour Tunesというグループを作っています。その後に、Charlie FuquaがKennyと分かれてWatsonと一緒にやることになり、それ以後Ink Spotsの名を再び使い出します。オリジナルが2人いるから気が強くなったのでしょう。

現在は、The Ink Spotsを名乗るグループのHanover Productionsが登録していると言うことです。Bill Kennyから商標を買い取ったのでしょうか。それは、わかりません。

どうでもいいことですが・・・

そんなことを事細かに調べ上げているサイトがあります。驚き桃の木です。

http://www.inkspotsevolution.com/ 

http://www.freewebs.com/inkspots/offshoots.htm

てなわけで、インクスポッツは分派活動の元祖なのです。


久し振りにInk Spotsの消息を調べようとしたところ、Topの現グループと書かれているグループは消えています。オリジナルのDeek WatsonのグループにいたJim Nabbieのグループの連中でした。どうやら、この連中が”The Ink Spots”の暖簾を持っていたようですが、知らない間に消えてしまいました。

Hrold JacksonもRay Richardsonも活動していないようです。

現在残っているのはLou Ragland's World Famous Ink Spotsらしいです。2010年にYou Tubeにアップされています。(2011/7/12)

 


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