歌と歌手にまつわる話

(19) ファースト・レディ In A Sentimental Mood
(English version)

Ella Fitzgerald(1917-1996) 

Benny Carter(1907-2003)

はい!一度聴いてころりと倒れたいい歌です。ド、レ、ミ、ソ、ラ、ド、レーとAm11に入ります。そうです、エリントンの名曲ですから。

エラの何とも可愛らしい声、間奏からサビに入る時のスキャットのオブリガート、すらりとオクターブ上にメロディを持って行く歌唱にうっとりしない人はいないでしょう。何といってもエラはエラいのです。

このエラの写真はドリー・べーカーが10年前頃から大事にしていたコレクションだったのですが、ついに貰ってしまった本物の写真です。他にも、エラの記事の切り抜きなどいろいろ呉れました。多分、自宅の部屋で撮ったものと思われます。(エラの写真をクリックするとサイズが大きくなります)


Apollo Theatre at
West 125 Street, Harlem
1934年、ニューヨーク、ハーレムのアポロ・シアターでのアマチュア・コンテストでエラにとってのアイドルだったConnee Boswellの歌"Judy"を唄って優勝して、25$の賞金をもらいました。貧しい家に育ち、ホームレス同然だった17歳の少女には大金でした。

当日、名アルト・サックス奏者ベニー・カーターが客席で聴いていたのです。彼女のことをチック・ウェブに伝えました。そして、翌年チック・ウェブ楽団の専属歌手としてデビューし、1937年にはじめてレコーディングを行いました。1938年には"A-Tisket, A-Tasket", "Undecided"でビッグ・ヒットを飛ばしました。ベニー・カーターは現在、ジャズの世界で生存中の最長老です。1999年5月で92歳になります。逆に、チック・ウェブは脊柱結核のため34歳の若さで亡くなりました。

エラから遅れること8年、1942年に同じアポロ・シアターでサラ・ボーンが優勝するのです。その翌年、アール・ハインズ楽団からデビューいたします。

私にエラの写真をくれたドリーは1938年の優勝者なのですよ。その頃のステージネームはThelma Bakerというのです。

ジャズ界最長老のベニー・カーターが95歳の長寿を全うし2003年7月12日にロサンゼルスのCedars-Sinai病院で亡くなりました。アルトサックスのプレーヤーとしてだけではなく、作曲・編曲家、指揮者としても有名でした。

特に、自らもサックスプレーヤーであるクリントン大統領とホワイトハウスで一緒にプレーをしたことは、いい思い出となったことと思います。70年以上にもわたり、ジャズ界にその名を轟かせた偉大なジャズマンでした。合掌

90歳になる直前の1997年に来日してライブにも出演しました。そのときのビデオが撮ってあり、DVDにしたものをベースの遠山さんからもらいました。一人で見ているのはもったいないので、1曲だけYou Tubeにアップしました。

http://jp.youtube.com/watch?v=KX4HJ9ito3I


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