歌と歌手にまつわる話

(79)  誤訳第二話 Softly, As In A Morning Sunrise
in English


Oscar Hammerstein II
(1895-1960)

「朝日の如くさわやかに」って原タイトルのどこに書いてあるのか知りませんが穿った邦題です。この「さわやか」な日本語タイトルを見て後に出てくる詞の内容を知らないで、「さわやかな歌」と勘違いをして唄いたくなる人が居るようです。

このホームページが生まれたばかりの頃、だれか英訳を手伝ってと広告を出したtころ、北海道の中学の英語の先生がメールをくれました。彼女から「6歳おめでとう」とこのサイトの誕生日を祝ってくれました。
 

それが、一緒にやるピアニストから"Softly, As In A Morning Sunrise"を唄わないかと言われたので唄うらしいです。この歌は1927年のHammersteinとSigmund Rombergのオペラ「ニュームーン」の挿入歌です。誰でも知っているメロディなのですが、唄っている人が少ないと言ってきました。

本当に少ないのです。June ChristyやHelen Merrillが唄っていますが、ほとんどはインストです。ピアニストはほとんどの人が弾いています。先日、最後だと言って来日したOscar Peterson、友人のJohn Hicksも超モダンなアドリブを聴かせてくれます。

この難しい歌をどうやって唄うのかって思っています。難しいのと同時に、詞の内容が凄いのです。彼女は英語の先生ですからよくわかっていると思いますが、

 

https://youtu.be/viqnMRwdCNI

Softly, As In A Morning Sunrise
Oscar Hammerstein II
Sigmund Romberg
1927

Softly, as in a morning sunrise
The light of love comes stealing
Into a newborn day

Flaming with all the glow of sunrise
A burning kiss is sealing
A vow that all betray

For the passions that thrill love
And take you high to heaven
Are the passions that kill love
And let it fall to hell
So ends each story

Softly, as in an evening sunset
The light that gave you glory
Will take it all away

恋は朝日が昇るように静かに始まり・・・誓いはすべて裏切られ・・・天にも昇る恋の情熱は人を地獄に突き落とす・・・恋の光は静かに沈む夕日のようにすべてを奪い去る

って言うのですから、Oscarさんどんな気分で書いた詞なのでしょうかねぇ?

はい、このオペレッタでは、好きな女性が他の男と結婚してしまうのです。その時に歌われる悔しまぎれの失恋ソングなのです。

「爽やかに」なんていう邦題は大バカが書いたのです。

(2004/11)


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