歌をつくる人にまつわる話
Story of Songwriters

(76) Art Hickman Rose Room

Art Hickman (1886-1930)

今年、3月にVera Lynnが100歳の誕生日を迎えた。しかも、記念の新しいCDがリリースされた。そこで、生きていたら今年100歳になるジャズ人を調べたら10人以上出てきた。皆さんがよく知る人ばかりだ。 ⇒ 生誕100年勢ぞろい

調子に乗って生誕100年の歌を調べたら”Rose Room”なんて古くて有名な曲が出てきた。作曲はArt Hickman、作詞はHarry Williams。

サンフランシスコ・ホテルのローズ・ルームでは、彼のバンドが常時演奏していた。この曲をテーマソングとしていたので、タイトルを”Rose Room”として、1917年にSheet Musicを出版した。

この歌を歌っているレコードはなかなか見つからない。Betty Huttonが歌っているのと、ミルス・ブラザースが歌っているのがある。

後にDuke Ellingtonがこの曲と同じコードを使って”In A Mellow Tone”を作曲したことも有名な話だ。


Art Hickman and his Orchestra, 1919

1919年にColumbiaレコードからニューヨークに呼ばれ、レコーディングしている。この頃、ジャズの中心はシカゴであり、段々とニューヨークでもジャズが盛んになってくるのだが、Hickmanはサンフランシスコが好きで、仕事が終わると直ちに帰って行ったのだそうだ。

 

Art Hickmanを知らない人でもジャンゴ・ラインハルトはよくご存じだろう。そのジャンゴの”Rose Room”の演奏を聴いたことがある人はけた違いに多いはずだ。

 

以前はジャンゴのFilmをYou Tubeに出していたのだが、大元からのクレームがついたらしく消されてしまった。そこで、レコードから音だけを取ったものがUpされている。

その他の1917年生まれのスタンダードには、”Indiana”、”Tiger Rag”、”For Me And My Gal”がある。

ジャズの生き字引だった鈴木英夫さんが生前、All Of Me Clubで毎月開催したJazz勉強会は「ローズ・ルーム」と名付けられた。昔、Rose Roomとう名のJazz Barがあり、古いジャズファンが集まっていた。ジャズの世界ではRose Roomは由緒ある名称なのだ。

(2017/5/5)


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