ジャズと雑学

(10) 乱暴な歌と字は困りもの

大唐三蔵聖教之序(王義之)
崩した字を書くには、楷書がきちんと書けなければなりません。楷書の何たるかが分かったら行書を勉強するのです。楷書は楽譜どおりに唄うのと同じでまったく[遊び]のない字です。隋から唐の時代の石碑が近代になってからも発掘されていますが、楷書には王義之、歐陽詢、行書は顔眞卿などそれぞれの最高峰の名書家がいたのです。

子供の頃、美しいと思って眺めたこれらの拓本のオリジナルともいうべき石碑を西安(昔の長安の都)で目の当たりにしたときは感動しました。この石塔は大雁塔という寺にあります。空海がこの寺で写経をし日本にもちかえったのです。

そっと手で撫でてきました。

楷書と行書ではまったく筆の運び方がちがいます。行書では筆に自由度を持たせないとなりません。スイングするジャズのように。プロが歌うように崩してジャズィに唄ってみたい人は、楷書と行書を勉強してみるとその違いがわかるのではないでしょうか。


へたな崩しがみっともないのに気がつかない人もいらっしゃいますね。字の崩し方にも基本があるとおり、歌の崩し方にも基本があるのです。見よう見真似や自分勝手な崩しは聴きづらいことこの上なしです。

まず、歌も楷書でさんざん歌うことが大切なのです。

上手でなくとも丁寧ならいいのです。とにかく乱暴な歌と字は困りものです。ご自分の品性を卑しめるだけでなく、はたに迷惑をかけます。学生の試験の問題用紙に「ていねいな字で書きなさい」と書いてやるのです。(1998/10)


後年、何かのきっかけに筆を並べて写真を撮りました。(2011/9)

その筆たちをお目にかけます。すべて使用中の筆です。

硯も2枚だけ、


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