歌と歌手にまつわる話

(58)  石井好子 ホーギー・カーマイケルの伴奏で Stardust 
(English version here)

2010年7月21日の訃報です。石井好子さんが7月17日に都内の病院で肝不全のため逝去されていることが伝えられました。87歳でした。

このページは11年前1999年11月に書いたページです。石井好子さんの若々しい姿を思い出し、87歳という享年を聞き信じられません。合掌

15年近く帝国ホテルの社長として、そのはるか以前から内外の要人はもとより、偉大なジャズメン達とも接してきた犬丸一郎さんは、99年にすべての仕事を終えて悠々自適の生活をされております。

つい先日、お会いした時の話です。こともあろうに「おい、StardustのVerseの歌詞をみせてくれ」とおっしゃるのです。その後の思い出話が面白いのです。



Yoshiko Ishii and Ichiro Inumaru at Little MANUELA
1999/11/7


ホーギー・カーマイケルが1961年に来日した時、石井好子さんと一緒に聴きに行ったのだそうです。「彼女は歌手です」と紹介したところ、「何か唄ってください、伴奏しますから」ということになり、Stardustを石井さんが唄ったのです。日本人でホーギー・カーマイケルに伴奏させてStardustを唄った人はおそらく石井さんとザ・ピーナッツ以外にはいません。

ザ・ピーナッツはTV「シャボン玉ホリデー」のテーマソングがStardustだったので毎週テレビに流れました。ホーギー・カーマイケルは帝国ホテルロビーでザ・ピーナッツがStardustを歌っているテレビを見て嬉しくなり、自ら放送局に連絡を取ってゲスト出演をすることになったのです。クレージー・キャッツも懐かしいですね。因みに、番組のクロージング・テーマとして流れるStardustはLos Indios Tabajarasのギター演奏です。植木等でも犬塚弘でもありません。あのシルエットは犬塚です。

石井好子さんは上野音楽学校(後の芸大)声楽科卒業後、アメリカに留学しジャズの勉強を始めました。さらにアメリカからフランスに渡ってシャンソンを勉強し、パリでデビューするのです。そして、シャンソン歌手として大成しました。75歳を越しているとは誰も思えない現役ばりばりです。石井さんがポロッともらした言葉です。

「わたしねぇ、はじめはジャズ歌手になろうと思ったの。でも、ジャズって難しいのよ。それでシャンソンにしたの」ですって。(1999/11)


  Index       Next