歌と歌手にまつわる話
Story of Songs and Singers

(258) Procol Harum A Whiter Shade Of Pale


Procol Harum, 2016

プロコル・ハルムが1967年にぶっ飛ばした世界的大ヒット曲に「青い影」がある。オドロキだが、まだこのバンドは活動している。リーダーのGary Brooker(vo,pf)は昭和20年生まれだが、まだ唄いつづけている。

昔々、渋谷村の家の近くに変わったレストラン「月乃ひかり亭」が出来た。オーナーは児玉泰弘という銀行家上がりのシェフだった。ケーキを専門に焼くあけみさんがいた。

その児玉さんが、私についてテレ朝通りのDOMINANTに出入りするようになったが、なかなか歌おうとしない。

「青い影」ともう1曲、思い出せないが、その曲の譜面を書いてくれたら歌うなどと抜かす。書いたけど結局歌わないうちにDOMINANTは閉店した。

1つ前のページでホセ・フェリシアーノを書いてYoutubeを開いていてのことだ。Procol Harumのビデオが目に入った。しかも2006年という最近のビデオが上げられている。デンマークでのコンサートとのこと。未だ、歌っていたんだとびっくりして見て懐かしい。ストリングのオーケストラと大コーラス付きで荘厳な演奏だ。オリジナルのレコードを凌ぐ編曲で贅沢の限りである。ビートルズのすぐ後に出て来たイギリスのロックバンドなのだが、クラシカルな音楽手法は薄っぺらいものではない。

 

https://youtu.be/St6jyEFe5WM

この曲のコード進行はバッハの「G線上のアリア」そのものである。文字通り、Violinの一番低いG線だけしか使わない作曲である。底流にバッハが流れて世界中にヒットしたのだろう。聴いてみてちょうだい。 このビデオを見聴きながら込み上げてくる。涙もポロポロだ。

 

https://youtu.be/mpnLM322vJU

「青い影」:作曲はGary Brooker自身で、作詞はオリジナルのメンバーだったKeith Reidである。

(2018/9/9)

A Whiter Shade of Pale
わかG 訳詞

<前奏>

We skipped the light fandango, turned cartwheels 'cross the floor
僕らは軽快なファンダンゴをフロアを横切るようにくるくる回転しながら踊った
I was feeling kinda seasick, b
ut the crowd called out for more
船酔いのように感じていたのに皆はもっと踊れと叫んでいた
The room was humming harder as the ceiling flew away
部屋は天井がぶっ飛びそうになるくらいますます賑やかになった
When we called out for another drink, the waiter brought a tray

「もう一杯欲しい!」と怒鳴ったら
ウェイターがお盆を運んできた

 

And so it was that later as the miller told his tale
それは「粉ひきの話*」を持ち出した直ぐ後の出来事だった
That her face, at first just ghostly, turned a whiter shade of pale
初め幽霊のようだった彼女の顔、みるみるうちに蒼ざめた顔色が白く変わっていった

<間奏>

She said, there is no reason and the truth is plain to see
彼女は「何も理由はないのよ、真実はご覧の通りなの」と言った
But I wandered through my playing cards
だけど私の切り札なんてどうでもよく
And would not let her be one of sixteen vestal virgins who were leaving for the coast
そんな彼女を「向こう岸に流された16人のヴェスタの巫女のうちの一人」させたくなかっただけだ
And although my eyes were open, they might have just as well've been closed
わたしの眼は見開いていたのにまるで目を閉じたように何も見えていなかったのかも

 

And so it was that later as the miller told his tale
それは「粉ひきの話」を持ち出した直ぐ後の出来事だった
That her face, at first just ghostly, turned a whiter shade of pale
初め幽霊のようだった彼女の顔、みるみるうちに蒼ざめた顔色が白く変わっていった

<間奏>

And so it was that later as the miller told his tale
それは「粉ひきの話」を持ち出した直ぐ後の出来事だった
That her face, at first just ghostly, turned a whiter shade of pale
初め幽霊のようだった彼女の顔、みるみるうちに蒼ざめた顔色が白く変わっていった

<後奏>

*) 「粉ひき屋の話」:昔話「カンタベリー物語」に、粉ひき屋のオヤジの女房が若い男と浮気した話が出てくる。という訳で、彼女の浮気を暴くダンスパーティ。彼氏が彼女の不倫を粉ひき屋話で喩えをしたら、彼女の顔色が真っ白になってしまったという歌なのだ。変った歌詞だこと・・・

若い人が書いた歌詞なのに、古事が出てくる。古い古い作詞家Oscer Hammerstein IIに倣ったのかもしれない。Vestal Virginもローマ時代の処女の巫女の話だ。

でも、彼は彼女に未練たらたら・・・自分から切ろうとはしないようだ。

徹ちゃんが「訳の分からない歌詞」と言ってきた。訳すしか手がない。確かに難解な歌詞であることには間違いない。訳しても訳が分からないだろう。

「粉ひきの話」や「ウェスタの巫女の話」なんて、誰もが分かっているとは思えない。Wikipediaでも参照してください。

(2021/12/17)

訃 報

⇒ Gary Brooker死去76歳


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