ジャズと歴史にまつわる話

Platinum Jazz Night

皆さん、2008年11月18日に六本木All of Me Clubで、こんなメンバーが集まってライブが開催されました。

河辺さんは82歳、芦田さんは79歳、光井バンチャンは76歳とのことです。池野さんも70歳を越しています。

私は所用があって、3セット目にやっと間に合いました。始まったところでした。このライブはオージーサンズのお友達、後藤さんがプロデュースしたものです。

後藤さんは人生半ばにさしかかったばかりの若者なのですが、ほんとに若い頃は、富士スピードウェイでトップを争った有名なレーサーだったのです。後藤さんから「是非、来てください」と言われていましたし、芦田さんに会いたくて、急いで駆けつけたと言うわけです。

バンチャンは病気してから、左手が不自由でラッパを支えられません。それに、ラッパの音も弱くなりました。失ったものは大きいですが、大好きなボーカルでは、何とも人の心を打ちます。味わい深い歌をたくさん歌ってくれました。

高橋伸寿がMCでした。

いやー、心温まるライブでした。「ごっちゃん、あなたは偉い!」

シルバーのジャズではありません。プラチナのジャズなんです。

私がAll of Me Clubに到着する前に、2セットの演奏があったのですが、河辺さんが貧血でぶっ倒れてしまったのだそうです。それで、救急車が呼ばれました。ところが、ご本人は「俺は行かない!」と言って、救急車を追い返してしまいました。

私はぶっ倒れたところを見たわけではないのですが、「ぶっ倒れちゃって、ごめん」といいながら演奏を続けたのです。ジャズ・ミュージシャン魂を、今夜のお客さんは見たのです。

一方、ばんちゃんはこの日のことをすっかり忘れていて、現れません。家に電話したら、ちゃんと居たとのことです。3セット目にやっと間に合ったそうです。

どんどん年配のミュージシャンが減っていきます。何年か前「ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ」という映画が製作されましたが、ぐずぐずしていると、みんないなくなってしまいます。後藤さんは、それを肌でわかっているのです。

(2008/11)

このページを書いて半年後の2016年5月に光井ばんちゃんが肺がんで亡くなりました。

近藤和紀さん、近ちゃんが2019年7月12日に急逝されました。近チャンの家は我が家のご近所で、都営新宿線でよく会いました。

池野成秋さんが2023年4月27日に86歳で亡くなりました。


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