歌と歌手にまつわる話

(145) A Nightingale Sang In Berkeley Square の不思議

”A Nightingale Sang In Berkeley Square”というバラードがあります。アニタ・オデイはこの歌もゴニョゴニョって歌うのが何ともジャジーな響きなのです。他の歌手とは声の出し方が違います。

子供のときに扁桃腺の手術で医者が間違って「喉ちんこ」を切ってしまったので、普通の人のようにビブラートが出来なかったのだそうです。そこでアニタ独特の発声法で歌うようになったという話です。

私の一回り下の後輩、TODOSから「シナトラやキング・コールの歌とアニタの歌は全く違う歌詞で歌っている。シナトラが歌うのがオリジナルのように思いますが、事実は一体どういうことなのでしょう?」というメールが来ました。

上のレコードにアニタが歌う”A Nightingale Sang In Berkeley Square”が入っていますが、You Tubeにも出ていますので先ずは聴いてみてください。

 

    

この歌を歌ったことのある人は、殆どがシナトラと同じ歌詞のはずです。

That certain night, the night we met
There was magic abroad in the air,
There were angels dining at the Ritz
And a nightingale sang in Berk'ley Square.

I may be right, I may be wrong,
But I'm perfectly willing to swear
That when you turn'd and smiled at me
A nightingale sang in Berk'ley Square.

・・・・・・・

と歌うことでしょう。アニタの歌詞とは全く違います。

アニタは2番の歌詞を歌っているのです。

How strange it was
How sweet and strange
There was never a dream to compare
With that
hazy crazy nights we met
When a nightingale sang in Berkeley square

This heart of mine
Be loud and fast
Like a merrygoround in a fair
Oh, we were dancing cheek to cheek
And
a nightingale sang in Berkeley square

When dawn came stealing up
All gold and blue
To interrupt our rendezvous
I still remember how you smiled and said
"Was that a dream or was it true?"

Our homeward step was just as light
As the tap dancing feet of Astaire
And like an echo far away
When a nightingale sang in Berkeley square

When dawn came stealing up
All gold and blue
To interrupt our rendezvous
I still remember how you smiled and said
"Was that a dream or was it true?"

The streets of town were paved with stars
It was such a romantic affair
And as we kissed and said goodnight
When a nightingale sang in Berkeley square

I know 'couse I was there
That night in Berkeley square.

この曲はゆっくり歌うと1番だけで4分程度かかります。昔のシングル版のレコードでは2番まで入りません。シナトラもキング・コールも1番を歌いました。しかし、アニタはライブでも2番を歌いました。これがアニタ・オデイのやり方です。

誰も歌わない2番の歌詞で挑戦してみませんか?サビに戻って、最後は1番の終わりの歌詞に入ります。憎いでしょ?アニタの好きな人はこのことを知っています。

これまで、こんな質問をしてきた人はありません。TODOSはアニタの歌詞は何だと思ったのでしょう。まさか2番だけを歌うとは思わなかったのでしょう。それで、この1ページを書くきっかけになりました。

みなさん、”But Not For Me”は殆どの人が1番だけしか歌いません。2番があることを知らない人が多いのです。そこで、2番から歌い出し、1コーラス終わったところで倍テンポの4ビートにアップして1番を歌うというアレンジがあります。20年近く前に出した沢田靖司のコンサート・ライブ盤でこうして歌っています。わが師匠、さすがにうまいことをやっています。10何年か前にこのアレンジを採譜しました。見てみたいですか?歌ってみたいですか?(2011/12/7)

では ⇒ ”But Not For Me” アレンジ譜

    

もう一つ思い出しました。”I Left My Heart In San Francisco”の2番って知ってますか?Carmen McRaeが歌っていました。多分、自分で作詞したものと思っていますが真相は不明です。(2014/10/8)


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