ジャズと歴史にまつわる話

ピアノの異端児

Thelonious Monk(1917-1982)

1940年は、また、セロニアス・モンクが注目をあびる年でもあります。

モンクはこれからバップの時代に突入していくのですが、独自の演奏スタイルを崩すことなく、その性格も通常ではなく、変人ともいえる行動をとりました。

はじめは「ゾンビ音楽」と言われたりして嘲笑を買ったと言われます。

「なんて強情な奴」とも言われたものです。この写真は素晴らしい一枚ですが、ジャズ写真家、William Gottliebのものです。

また、後に有名になるマイルス・デイビスとのレコーディングにまつわるエピソードも有名です。「モンクのピアノ伴奏は邪魔な音が多すぎる」と断わられました。磁石の同じ極は反発します。

1951年、おそらくモンクのものではないと言われていますが、車の中から麻薬が発見されました。その判決は「6年間ニューヨークでは出演禁止」でした。彼は麻薬の出所については、ついに明かしませんでした。しかし、レコーディングは許されていました。

「俺は天才」と自ら本気で宣言したのが1957年。薬で頭が狂っていたのでしょうか。あるいは、薬のせいではないかもしれませんが。1970年以降はほとんど演奏をしなくなりました。パトロンの家に家族ぐるみ引き取られて亡くなるまで生活します。(1998/10)

"Blue Monk"というシンプルな曲がありますが、ヴォーカリーズでも唄われています。Bobbe Norrisという中堅の歌手がピアニストの旦那のLarry Dunlapと来日しました(2003)。そのとき、デュエットで唄ってくれました。これが「イカス」のです。古くはAbbey LincolnのCDに入っているのだそうですが、手許にもありません。歌詞のついた譜面など売っていません。そこで、ラリーに頼んだら、英語の解説までつけてメールしてくれました。そのうち唄ってみたいです。


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