歌と歌手にまつわる話
Story of Songs and Singers

(188) Charlie Shavers Undecided


Charlie Shavers(1920-1971)

スウィング時代のトランぺッターであるチャーリー・シェーバースは15,6歳でプロの道に入ったという。例によって、年が若すぎるので3歳サバ読んで1917年生まれということにして届けたという。

バップしか興味のない人には面白くないと書かれた記事もあるが、とんでもない話だ。

1944年にR・スコットのCBSスタッフ・オーケストラに参加し、1945年ころからドーシーの死去する1956年ころまでトミー・ドーシー楽団のソリストとして時々顔を出していた。

白人のバンドに黒人がというのは、珍しいことなのです。

1953年にはノーマン・グランツのJATPに同行しヨーロッパに演奏旅行に行って大人気を博した。

彼の珍しい作曲に1938年の”UNDECIDED”がある。エラのヒット曲としても有名だが、この歌の誕生には面白いエピソードがある。

この曲を出版社に送った。「曲名は?」と電報が来た。彼はまだタイトルを決めていなかったので、

「Undecided」

と答えた。「まだ、決まっていねぇ!」という積りだったのです。

出版社はこれを「タイトル」だと勘違いして、作詞家のSid Robin(1912-1985)に伝え、それであの歌詞が書かれたといいます。まさに勘違のお蔭で生まれた歌です。面白いでしょ?

 

https://youtu.be/zozDXm-XEeE

”Undecided”はよくインストでは演奏する人が多いのだが、日本にはVocalでさらりと歌う人はなかなかいない。90年代の初め頃だった。3年先輩の寺田さんの古いコンボバンド、Five Brothersが毎年ライブをやっていた。あるとき、プログラムに、

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UNDECIDED
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と印刷がしてあった。「おー、珍しく”Undecided”をやるんだ」と思っていたら、・・勘違い。曲が決まっていなかったのでそう書いてあったのだ。

「よし、寺田さん、来年は僕が”Undecided”を歌う」となって、私のレパートリーに加えられた。勘違いのお蔭で持ち歌となったのだった。(2015/9/6)


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